夢と希望はこれほどまでに強い
精神科医のV・E・フランクルは、アウシュビッツでの体験を綴った『夜と霧』の中で、自分自身の未来を信じることができなくなった人間が内的に崩壊し、身体的にも心理的にも滅亡していく様子を書いている。
たとえば、収容所にいたある脚本家は、戦争が五月三十日に終わる夢を見たという。その夢を語ったときの彼は、希望に満ちており、夢の中の声が言っていたことは正しいと核心していた。ところが、解放の可能性のないことが明瞭になった五月二十九日、彼は突然、高熱を出して発病し、翌々日の五月三十一日に死んでしまうのである。
また、それまでと何の状況変化もないのに、1944年のクリスマスと翌45年1月までの間に、収容所でいまだかつてないほど大量の死亡者が出た。それは、収容されていた人たちの多くが胸に抱いていた、「クリスマスには家に帰れるだろう」という希望的観測が現実によって踏みにじられた結果であるという。
落胆と失望によって、自身の存在意義が消えてなくなり、同時に、将来への夢も、頑張りとおす気力も失った途端、人は朽ち果ててしまうのだろう。もはや何の目標も希望も見出せず、生きることに何の目的wも認められない時、人間はまことに哀れである。
どんな状況の中でも、夢と希望だけは持ち続けたいのである。
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